高さんのモットーは 「氣力」 でした。

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 少し前まで、NHKで土曜日の夜に放送されていたドラマ。
 その放送は今もかわらず、こころに残ってます。





 それは、元プロ野球の打撃コーチの高畠導宏(南海・ロッテなどに在籍)さんの実話を元にしたドラマでした。

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 ドラマでは、多くの名選手を育ててきたが、50代後半になって一念発起し高校教師を目指します。
 現代社会を教える新人教師として単身赴任してきたのが、福岡県の桜台高校。
 熱くて真っ直ぐな性格で、モットーは 「氣力」 でした。

 一人ひとりに温かい言葉をかけ、ときには正面からぶつかって、夢を応援しようとします。
 その姿は、生徒たちの心を開き、いつしか周囲の教師らにも影響を与えるようになってゆきます。
 そんな、とっても熱いドラマでした。

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 実際、7つのプロ球団を渡り歩き、落合、イチロー、小久保、田口を始め、30人以上のタイトルホルダーを育てた名伯楽の高畠導宏さん。

 '98年に日本大学の通信課程に入学、教員免許を取得。
 '03年の春より58才で福岡県筑紫台高等学校の教員になり、高校野球監督を目指していました。

 高畠さんは30年のコーチ人生で培った優れたコーチング力で、悩める思春期の子どもたちと現場の教師たちを大きく変えていきます。

 自ら、悩み、迷い、葛藤する姿をさらけ出す素敵さ。
 高みから何かを教えるのではなく、「生きる力」 を伝えようとする熱意。
 「俺だけの先生」 「私だけの先生」 と子どもたちに思わせる 「好きにならずにいられない」。
 そんな理想的な教師の姿がそこにありました。

 野球界でも打者の親身になってくれる情熱家であり、アイデアマンだったそうです。
 その熱意から、いろいろなアイデアが生まれてきたのでしょうね。

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 考えさせられてしまったのが、里見浩太郎氏演じるベテラン教師の天童先生が、58歳で教育実習に来た高橋に対して 「あなたは本気で教師になる覚悟があるのか?」 と何度も問いかけたこと。
 
 非常に重い言葉に聞こえました。
 
 どんな職業もそれぞれに社会的役割と責任があります。 
 また、中でも人から人へ 「教えてゆくこと」 は特に大事なことだと思います。

 40代に突入した今の時期になって、もういちど考えさせられる言葉でありました。

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 わずか1年でがんに倒れ、志半ばで逝去した新米教師 「高さん」。
 このドラマは、彼の思いを受け止め、成長していく子どもたちと同僚教師たちの感動の実話でありました。

 【番組名】 土曜ドラマ「フルスイング」(全6回)
 【放送】 '08年1月19日~2月23日 総合 毎週土曜 夜9時~9時58分
 【原案】 門田隆将「甲子園への遺言~高畠導宏の生涯」(講談社刊)
 【脚本】 森下直 関えり香 さわだみきお
 【音楽】 おかもとだいすけ
 【主題歌】 夏川りみ
 【出演】 高橋克実 伊藤蘭 吹石一恵 萩原聖人 塚本晋也 本田博太郎 小林克也 里見浩太朗 ほか


 若い世代には、「熱いのダサイこと」 って思われてしまいそうです。
 でも、そんなことはありません。
 中途半端だからそうなのかもしれないのです。 
 あそこまで本気、真剣に自分の思いを素直にぶつけて生きていけるからこそ、あんなにもかっこいい姿だったのでしょう。


第1回 「再びの、夢」

 プロ野球の名打撃コーチ・高林導宏(高橋克実)は、福岡の高校で教育実習を受ける。
 58歳の新人に指導教諭の天童(里見浩太朗)や時任あや(吹石一恵)たちの反応は冷ややか。
 実習は上手くいかず、立ち往生の高林。
 しかし全く言葉を発しない生徒・森(久野雅弘)が心に残り、翌日から森に声をかけ始める。
 教育実習最後の日、黒板に 「夢」 と大きく書く高林。
 「夢」 を持ち続ける事の大切さを熱く語る。
 その時、教室に奇跡のような瞬間が訪れる。

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第2回 「逃げない」

 4月、59歳の新人教師・高林導宏(高橋克実)が誕生した。
 しかし、高林に授業という大きな壁が立ちふさがる。
 妻の路子(伊藤蘭)にもつい教師の難しさを愚痴ってしまう。
 あや(吹石一恵)が顧問を務める女子剣道部のエース田辺(徳永えり)が、練習中の怪我を隠して稽古を続け、大きな怪我になる。
 自分の不注意で、田辺を 「壊してしまった」 事に責任を感じ、子供を指導する自信を失ったあやに、高林は剣道の稽古を申し込む。

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第3回 「本気になる」

 夏、高林(高橋克実)に野球部の監督話が急浮上し、鮫島教頭(本田博太郎)は現監督の阿部一球(萩原聖人)に、「この大会で結果が出なければ、退任」を言い渡す。
 高林と阿部の間に激しい衝突が起こる。
 「本気」 で応援団を組織し、野球部の第二グランド用の土地探しに駆け回る高林。
 桜台高校は初の甲子園出場なるか?
 自分のために阿部を傷つけ悩む高林だったが、頑張る生徒たちの姿に、再び野球と向き合う 「覚悟」 を決める。

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第4回 「キャッチ」

 9月、高林(高橋克実)とあや(吹石一恵)のクラスで、いじめ発生。
 なんと子供同士ではなく、英語の太田先生(塚本晋也)がターゲットだった。
 ベテラン教師天童(里見浩太朗)は太田の只ならぬ気配を見抜き、いち早く警告を発するが、結局太田は登校拒否になってしまう。
 そんな太田に高林は徹底的に寄り添い、立ち直らせる。
 いじめの中心にいた一人の帰国子女水沢(落合恭子)の心の悩みをキャッチした太田先生は、不思議な授業を思いつく。

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第5回 「先生のセンセイ」

 11月、サッカー進学で学校推薦が決まっていた佐伯(佐野和真)が部の後輩に暴力を振るう事件が起こる。
 殴った理由を語ろうとしない佐伯。
 進路指導担当の天童先生(里見浩太朗)は、無期停学の厳しい処分を下し、学校推薦は取り消しになる。
 天童を逆恨みした佐伯は荒れ狂い、彼の親は天童辞任を要求する運動を始める。
 天童の厳しい処分の裏にある、深い考えに気づいた高林(高橋克実)は、姿を見せない佐伯を探し、学校に連れ出す。

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第6回 「最後の授業」

 卒業式も近い2月、初めて受け持った生徒たちを送り出す喜びと寂しさを噛み締めていた高林(高橋克実)に、運命のガン宣告が下る。
 妻の路子(伊藤蘭)らは、一刻も早い帰京と治療を薦めるが、高林には笑顔で卒業式に出席するという、生徒たちとの約束があった。
 病気を知り福岡までやって来た息子の公平(川口翔平)や、あや(吹石一恵)たちの励ましを受け、高林は闘病生活への決意を新たにする。
 高林の卒業生への贈り物、それは氣力をふりしぼった 「最後の授業」 だった。

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 特に、この最終回に高橋さんが生徒に贈ったエールには・・・涙してしまいます。

 

 啐啄(そったく)という言葉。
 阿部一球(萩原聖人)が高橋にその言葉を語るシーンがありました。

 「啐」 と 「啄」 の文字。
 禅の言葉に 「啐啄同時」 というのがあるそうです。

 5月は野鳥にとっては子育ての時期。
 卵の中のヒナ鳥が殻を破ってまさに生まれ出ようとする時、卵の殻を内側から雛がコツコツとつつくことを 「啐」 といい、ちょうどその時、親鳥が外から殻をコツコツとつつくのが 「啄」。
 雛鳥が内側からつつく 「啐」 と親鳥が外側からつつく 「啄」 とによって殻が破れて中から雛鳥が出てくるのです。
 両方が一致して雛が生まれる 「機を得て両者相応じる得難い好機」 のことを 「啐啄同時」 というそうです。

 親鳥の啄が一瞬でもあやまると、中のヒナ鳥の命があぶない、早くてもいけない、遅くてもいけない、まことに大事なそれだけに危険な一瞬であり啐啄は同時でなくてはなりません。

 そしてその時期は、自然にそして見事に一致するのだそうです。

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 是非、再放送を待っていたいと強く思うドラマでありました。
by chikazo-toto | 2008-03-02 22:11 | つぶやき